酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の解説
作業をする方の資格-【酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育ついて】
現場で酸素欠乏・硫化水素の危険作業をする方は、特別教育を受ける必要があります。
【特別教育のきまり】
労働安全衛生規則 第36条第1項第26号
令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務
これらの危険な場所では、特別教育を受けた者以外は作業を行うことはできません。
特別教育の科目が定められています。
1 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目につい て特別の教育を行わなければならない。
一 酸素欠乏の発生の原因
二 酸素欠乏症の症状
三 空気呼吸器等の使用の方法
四 事故の場合の退避及び救急そ生の方法
五 前各号に掲げるもののほか、酸素欠乏症の防止に関し必要な事項
1 前項の規定は、第二種酸素欠乏危険作業に係る業務について準用する。この場合において、同項第一号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠乏等」と、同項第二号及び第五号中「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠乏症等」と読み替えるものとする。
特別の教育には次の2種類があります。
酸素欠乏危険作業特別教育規程
1 第一種酸素欠乏危険作業に係る特別教育
科目 | 範囲 | 時間 |
---|---|---|
酸素欠乏の発生の原因 | 酸素欠乏の発生の原因 酸素欠乏の発生しやすい場所 |
30分 |
酸素欠乏症の症状 | 酸素欠乏による危険性 酸素欠乏症の主な症状 |
30分 |
空気呼吸器等の使用の方法 | 空気呼吸器、酸素呼吸器若しくは送気マスク又は換気装置の使用方法及び保守点検の方法 | 1時間 |
事故の場合の退避及び救急そ生の方法 | 墜落制止用器具等並びに救出用の設備及び器具の使用方法並びに保守点検の方法 人工呼吸の方法 人工そ生器の使用方法 |
1時間 |
その他酸素欠乏症の防止に関し必要な事項 | 関係法令 業務について必要な事項 | 1時間 |
2 第二種酸素欠乏危険作業に係る特別教育
*下の表の (等) は、「酸素欠乏と硫化水素」のことをいいます。
科目 | 範囲 | 時間 |
---|---|---|
酸素欠乏(等)の発生の 原因 | 酸素欠乏(等)の発生の原因 酸素欠乏(等)の発生しやすい場所 |
1時間 |
酸素欠乏症(等)の症状 | 酸素欠乏(等)による危険性 酸素欠乏症(等)の主な症状 |
1時間 |
空気呼吸器等の使用の方法 | 空気呼吸器、酸素呼吸器若しく 送気マスク又は換気装置の使用方法及び保守点検の方法 | 1時間 |
事故の場合の退避及び救急そ生の方法 | 墜落制止用器具等並びに救出用の設備及び器具の使用方法並びに保守点検の方法 人工呼吸の方法 人工そ生器の使用方法 |
1時間 |
その他酸素欠乏症(等) の防止に関し必要な事項 | 関係法令 業務について必要な事項 | 1時間 30分 |
以上の解説で、酸欠・硫化水素の危険のある場所で作業をする方は、特別教育を受けなければならない理由は理解していただけたと思います。
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作業を指揮する方の資格について【酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習】
特に危険性や有害性の高い作業については高度な知識と豊富な経験を持つ「管理者」が作業現場に常駐し、作業者を指揮する必要があります。その管理者を「作業主任者」といいます。事業者は酸素欠乏・硫化水素の危険作業に労働者を就かせるときは「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習修了者」の中から作業主任者を選任する必要があります。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者を選任が必要な作業について
酸素欠乏危険作業主任者が必要な作業の種類は以下のように定められています。
労働安全衛生法施行令 第6条第21号
別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所における作業
労働安全衛生法施行令 別表第6 酸素欠乏危険場所(第6条、第21条関係)
下記表の緑は、酸素欠乏の危険のある場所です。この場所での作業は、「第1種酸素欠乏危険作業」といいます。
オレンジは、酸素欠乏と硫化水素中毒の両方の危険のある場所です。この場所での作業は、「第2 種酸素欠乏危険作業」といいます。
1 次の地層に接し、又は通ずる井戶等(井戶、井筒、たて坑、ずい道、潜函(かん)、ピツトその他これらに類するものをいう。次号において同じ。)の内部(次号に掲げる場所を除く。)
イ 上層に不透水層がある砂れき層のうち含水若しくは湧(ゆう)水がなく、又は少ない部分
ロ 第一鉄塩類又は第一マンガン塩類を含有している地層
ハ メタン、エタン又はブタンを含有する地層
ニ 炭酸水を湧(ゆう)出しており、又は湧(ゆう)出するおそれのある地層
ホ 腐泥層
2 ⻑期間使用されていない井戶等の内部
3 ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きよ、マンホール又はピツトの内部
3-2 雨水、河川の流水又は湧(ゆう)水が滞留しており、又は滞留したことのある槽、暗きよ、マンホール又はピツトの内部
3-3 海水が滞留しており、若しくは滞留したことのある熱交換器、管、暗きよ、マンホール、溝若しくはピツト(以下この号において「熱交換器等」という。)又は海水を相当期間入れてあり、若しくは入れたことのある熱交換器等の内部
4 相当期間密閉されていた鋼製のボイラー、タンク、反応塔、船倉その他その内壁が酸化されやすい施設(その内壁がステンレス鋼製のもの又はその内壁の酸化を防止するために必要な措置が講ぜられているものを除く。)の内部
5 石炭、亜炭、硫化鉱、鋼材、くず鉄、原木、チツプ、乾性油、魚油その他空気中の酸素を吸収する物質を入れてあるタンク、船倉、ホツパーその他の貯蔵施設の内部
6 天井、床若しくは周壁又は格納物が乾性油を含むペイントで塗装され、そのペイントが乾燥する前に密閉された地下室、倉庫、タンク、船倉その他通風が不十分な施設の内部
7 穀物若しくは飼料の貯蔵、果菜の熟成、種子の発芽又はきのこ類の栽培のために使用しているサイロ、むろ、倉庫、船倉又はピツトの内部
8 しようゆ、酒類、もろみ、酵母その他発酵する物を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、むろ又は醸造槽の内部
9 し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、又は分解しやすい物質を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、船倉、槽、管、暗きよ、マンホール、溝又はピツトの内部
10 ドライアイスを使用して冷蔵、冷凍又は水セメントのあく抜きを行つている冷蔵庫、冷凍庫、保冷貨車、保冷貨物自動車、船倉又は冷凍コンテナーの内部
11 ヘリウム、アルゴン、窒素、フロン、炭酸ガスその他不活性の気体を入れてあり、又は入れたことのあるボイラー、タンク、反応塔、船倉その他の施設の内部
12 前各号に掲げる場所のほか、厚生労働大臣が定める場所
特別教育よりも作業主任者の資格の取得をおすすめします。
作業主任者の資格には作業者としての「特別教育」の資格も含まれています。もし現在「特別教育」を検討中なら最初から「作業主任者」の取得をしてはいかがでしょうか。いつか「作業主任者資格」が必要になる可能性があるからです。